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離婚後に自由に生きる姿の記録

千田有紀氏の物の見方が一方的で驚いた2

前回に引き続き千田教授の記事についての反論です。

news.yahoo.co.jp

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前回の記事では、児童扶養手当の問題では「未婚の母は別にして論ずべき」と書きました。

今回は

離別、死別のシングルマザーに「交際相手がいるか」「妊娠の予定はあるか」を質問することがそんなにいけないことなのか?

について書こうと思います。

 

 

税を原資とする以上、不正受給防止対策は必要

児童扶養手当は天から降ってきたお金ではありません。

その原資は税金であり、国民が納めたお金です。

国民の納めたお金であるからこそ、使い道や金額が法律や制度で定められていますし、法律や制度は国民の代表である議員が決めて(あるいは承認)しているのです。

そして本来受取る資格のない人に支給することは税金の不正利用であるから、それは防がなければなりません。

そういう視点をもって「交際相手はいるか」「妊娠の予定はあるか」という質問を見てみると、その質問は不正受給防止のためにやむをえない質問であるということが見えてくると思います。

不正受給を完全に防止するなら、児童扶養手当をもらっている母親を尾行、張り込みし、銀行口座の取引履歴、電話の履歴等をすべて追跡することが必要になるでしょう。

しかしそれを完璧に行おうとすれば不正受給額を超えるコストがかかるでしょうし「調査したが無実だった」という人のプライバシーが無駄に侵害されることになります。

不正受給防止を頑張ればプライバシー侵害の程度が上がり、プライバシー侵害の程度を下げれば不正受給の発生が増える、不正受給防止とプライバシー侵害はトレードオフの関係にあるといえるでしょう。

現在の児童扶養手当の現況届提出の際に行われる質問は、不正受給防止とプライバシー侵害の間を取った線引きとして制度化されているものであって、そういった線引きは国民の血税を原資とする以上仕方のない線引きではないでしょうか。

千田教授らが問題提起する「プライバシー侵害かつ屈辱的」というのは、児童扶養手当を貰う側(あるいは将来貰うかもしれない資格のある人)からの一方的な主張であって、どこで線引きするかについては

児童扶養手当を貰う資格のない人(要は婚姻継続中の人や独身者、親権を獲得できなかった親)もまた、税負担をしている以上、意見を持つことが許される

のです。

貰う人が「屈辱だ」「プライバシー侵害だ」と声高にさけんでみても、貰わない人からみると「図々しい」ようにしか見えない可能性があるのです。

交際している男性はいるか?という質問については、女性と交際するにあたり金銭的な負担を申し出る男性もいるという現実がある以上、労働報酬以外での収入を調査する意味でも必要ですし、現実に男を部屋に連れ込んで男に家計の一部を負担してもらっている女性もいる(事実婚の疑い)わけで、それらを質問せずにスルーしていては不正受給に役場職員が加担したと受取られかねません。

妊娠の予定についても、結局のところ「男性との交際」があるからこその妊娠であると考えるのが自然であり、「事実婚なのにシングルと偽っている」ことをあぶり出すために必要な質問です。

 

そんな質問をしても正直に言うわけないんだから無駄、との意見も見られますが実は無駄ではありません。

役場職員に対して虚偽の申告をして不正受給をした場合は刑法の詐欺罪になる(人を欺いて財物を交付させることになる)のに対し、役場職員が質問せず言質も取らずに資格のない者に児童扶養手当を支給しても罪に問うことは困難になります(厳密にいえばつり銭詐欺と同様の告知義務があるとの解釈もありますが、不作為の詐欺を立証するのは大変なのに対し、作為ある詐欺の立証は容易)。

そのためにも現況届を提出させ、交際相手の有無や妊娠の予定を確認し、受給資格を細かく確認することは必要なのです。

 

 

さらにもうひとつ、妊娠報告に関して千田教授は

>子どもは4人産め、3人産めと政治家が発言する割には、現実に産む際のサポート体制が整っているとはとても思えない。

とのご意見もお持ちのようでしたが、政治家や政府が「なんの金銭的裏づけもないシングルのまま、手当てのみをアテにして無責任に3人~4人子どもを作る」ことを望んではおらず、「金銭的にも人間関係でも真っ当な家族関係の下で3人産んでほしい」という意味であることは、普通の知能があれば明らかです。

現況届提出時の妊娠予定の聞き取りに際して「3人産め」発言を引き合いに出すのは、恣意的な勘違いとしか思えません。

 

 

 

東京大学を卒業するような頭の良い人が、不正受給対策との兼ね合いについての視点をもたず、受給者の感情にのみ着目して議論するとはなかなかの驚きでした。

もしかしたら、議論に際して視野の狭くなる人であるかもしれないし、一定の結論を導き出す目的になっているために不利な情報を無視するクセがついているのかもしれないし、苦しんだ人への共感力が高すぎる人なのかもしれません。

こんな視野の狭い議論はかえって「税負担をしながら児童扶養手当を貰っていない人」の反感を増大させる危険があり、私個人としては全くオススメできません。

不正受給を防止しつつ受給者の屈辱感も軽減するような「多くの方が納得できる代替案」を提示することのほうが、シングルマザーたちが過ごしやすい社会への近道になると思います。