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離婚後に自由に生きる姿の記録

法律記事の危うさ

地方移住(Iターン)したら、全然理想と違った!

といった記事を最近見るようになり、先日弁護士ドットコムに次のような記事が載りました。

www.bengo4.com

 

この記事を読んだ方で「村八分は刑法の脅迫罪になるのか、フムフム」と思った方はどのくらいいるでしょうか。

多くの方がそのように感じたかもしれません。

しかし、この記事を法律知識をもってきちんと読んだ場合、結論は

村八分はやり方次第で脅迫罪になったりならなかったりする

ということになります。

さて、ではなぜそのような結論になるのか、そして村八分をやらない方向に読み手を誘導しているダメな例であるということを書いていこうと思います(弁護士監修であるため村八分の推奨や指南は商売上まずいと思われる)。

 

 

1.脅迫罪にならない村八分のやりかた

記事では村八分

 

 

村八分とは、村の人全員が申し合わせて、その村のある人や家族を仲間外れにすること

 

 

と定義しています。

ところが記事内で紹介された大阪高裁の判例(S32.9.13)

 

 

いわゆる村八分の決定をし、これを通告することは、それらの者をその集団社会における協同生活圏内から除外して孤立させ、それらの者のその圏内において享有する、他人と交際することについての自由とこれに伴う名誉とを阻害することの害悪を告知することに外ならない

 

 

と判示されています。

ちなみに脅迫罪について刑法では

第222条  生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2  親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

となっており、害悪の告知が脅迫の要件となっています。

つまり、村八分対象者以外全員で示し合わせて、仲間はずれにしただけでは脅迫罪にはならず村八分にするとかしたとかを対象者に通告することで脅迫罪になるのです。

 

 

2.読者誘導の手法

法律にすこし明るい者ならば「脅迫罪にならない村八分がある」ことに気づいたと思います。

しかし、弁護士ドットコムの立場上、村八分はダメという結論に見せかけるために、法律に明るくない者を騙すためのテクニックを使っています。

そのテクニックとは、

序盤で村八分の定義を「仲間はずれにすること」としているのに

脅迫罪にあたるとの判例は「仲間はずれという行為について論じた判決ではない」

というテクニックです。

 2でも書きましたが、判例は仲間はずれにする行為について論じられているのではなく、その通告が脅迫罪にあたるかどうかを検討しています。

 

 

 

3.責任の所在

このような読者をミスリードしかねない記事の責任は誰にあるのでしょうか。

私は記事を書いたライターと発行した弁護士ドットコムにあると思います。

記事内に出てきた弁護士は判例を基準として判断しただけであって、弁護士自身は仲間はずれ行為そのものについて論じていません。

もしかしたら、ライターが弁護士に「村八分に関する判例はありますか?」ぐらいの質問をしただけなのかもしれません。

司法試験に通った人物が「仲間はずれにすること」という定義まで確認したうえで「害悪の告知が必要となる脅迫罪」の判例を出すとは思えません。

また、判例の詳細まで読み込んで「村八分になった者の落ち度が大きい場合は(告知しても)脅迫罪にならない場合もある」とちゃんと保険をかけています。

 

 

 

弁護士ドットコムはそのサイトの性質上、村八分(仲間はずれのみの場合を含む)を容認することはできないのでしょう。

なぜなら仲間はずれ自体は犯罪には該当しなくても人権を侵害しかねない行為であり、弁護士が仲間はずれを肯定した場合と否定した場合、どちらの炎上リスクが高いか明らかだからです。

地方移住や村八分の是非についてはまた別の記事に書く予定でいますが、

法律に関する記事は細部まで読み込まないとミスリードされてしまう

という危険を知らずに読んでしまうと、誤った知識を身につけてしまうことになるため、今回あえて警告の記事を書かせていただきました。